ストーリーSTORY
“私と同じような脚の人っている?”──SNS 上での人探しによって得られた、障がいのあるプリシラやリカルド、チャーリーたちとの出会い。撮影中の予期せぬ妊娠、出産と子育て。親友であり自閉症のナオミとの語らい。そして、エラをひとりで育てたシングルマザーの母への問いかけ。同様に母となった今、エラは何を考えるのだろうか?障害がなければ“普通”の女性としての経験が、障害があることで“異常”とされてしまうこの世の中で、障害がある女性としての経験、正直な気持ちが丁寧に綴られる。周囲との交流を通して、エラは新しい世界と自分を知ってゆくのであった─。
撮影を続けるなか、エラは自分と似た障がいのある子どもたちが、‟障がい”を“治療”しようと、複数回にわたる大規模な手術を受けているという事実に直面する。そして四肢の延長と再建の国際的権威、ドロール・ペイリー医師から、治療をすれば人生が劇的に改善され、車いすも不要になると言われる。「障がいを治そう」とすることと表裏一体の〈障害者差別(エイブリズム)〉に直面するエラ。差別に対峙しての正直な気持ちと、常に前向きであろうとするエラの姿からは、障害があっても「そのままでいいのだ」という力強いメッセージが受け取れる。翻ってそれは「普通」とは何か、「非障がい者」が優先される社会とは何なのかを問いかけるものであり、一方で、障がいのあるなしに関わらず、今を生きるすべての“わたし”にエールが送られているような深い感動に包まれることだろう。