独裁者たちのとき
2022/ベルギー・ロシア/78分
公式サイト
イントロダクションINTRODUCTION
ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニ──
いま、20世紀の亡霊たちが世界を覆い尽くす
深い霞に覆われた色のない廃墟の中で男たちが蠢いている。ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニなど第二次世界大戦時に世界を牛耳っていた独裁者たちだ。煉獄の晩餐が始まると、お互いの悪行を嘲笑、揶揄し、己の陶酔に浸っている。〈地獄〉のようなこの場所で〈天国〉へと続く扉が開くのを待っているのだろうか…
ロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフがダンテの「神曲」を彷彿とさせる冥界を舞台に、過去のアーカイヴ映像から独特なデジタルテクノロジーで作り上げた20世紀の独裁者たちの姿が、時には滑稽に、時には暴力的にそしてシュールに我々の生きる現代を貫き、未来を予言する。
本作は、ソクーロフの近現代の歴史への最大の挑戦であり、これまで手がけてきた『モレク神』『牡牛座 レーニンの肖像』『太陽』というヒトラーやレーニン、昭和天皇をはじめ20世紀の大きな権力を有した歴史上の人物を取り上げた一連のシリーズの掉尾をかざるものと言えよう。その最も大きく、最も複雑なテーマを圧倒的な映像、震撼する音響とともに独裁者たち4人を78分に凝縮して描いた、まったく新しい史劇が姿を現す。
ストーリーSTORY
煉獄の独裁者たちの門出~天国の門へ~
煉獄の廃墟の一室。匂い立つような花に包まれた棺の中、遺体のヨシフ・スターリンが「ブーツがきつい」と目を覚ます。同室には痛みを訴えるキリストが横たわる。「早く父なる神のもとへ行け」というスターリンに、キリストは「皆と同じように列に並んで審判を待つ」と答える。それを皮肉の笑みをこぼしながら上から見下ろすのはアドルフ・ヒトラー。軍服のスターリンを脇からウィンストン・チャーチルが覗いている。「お前はすでに臭い」「お前も臭い」。3人は互いに悪態をつきながら、天国の門に向かう旅に出た。道中でベニート・ムッソリーニが合流し、こうして4人の旅が始まったのだった。
キャストCAST
アドルフ・ヒトラー(本人 ※アーカイヴ映像) ヨシフ・スターリン (本人 ※アーカイヴ映像) ウィンストン・チャーチル(本人 ※アーカイヴ映像) ベニート・ムッソリーニ(本人 ※アーカイヴ映像)
スタッフSTAFF
監督・脚本:アレクサンドル・ソクーロフ 製作:ナタリヤ・スマギナ|ニコライ・ヤンキン 音楽:ムラト・カバルドコフ 音響:アレクサンドル・ヴァニュコフ コンポジション:ヴャチェスラフ・チェルパノフ ビジュアル・エフェクト:アレクサンドル・ゾロトゥヒン |ヴィターリー・スヴァロフ|カテリーナ・ソロヴィヨワ|アレクサンドル・イェフィモフ|エカテリーナ・イェルモラエワ|ステパン・マシチェフ|ポリーナ・イヴァノワ|エヴドキヤ・ヴァンナヤ|ユーリー・モキイェンコ |ドミトリー・ウシャノフ